2018.06.27 「6月の花嫁」
スポーツの楽しさをお伝えするATHLEADブログ。
こんにちは、シェフの阿川です。
早いものでもう今年も半分が終わってしまいますね。
6月と言えばジューンブライド、6月の花嫁は幸福になれるというジンクスが有名ですね。
juneの語源はローマ神話の主神ユピテルの主妻、ユノーです。
ヨーロッパでは1番天候の良い時期だったり、3~5月までが農作業で忙しいので6月に結婚式が多かったのでしょう。
神話の中の女神ユノーはなかなかの策士で、ユピテルやライバルの女神を手玉にとってるので男性には気苦労が多そうですが。
古代ローマ由来の習慣は数多く残っていますが、その1つに、新郎が新婦を抱きかかえ新居の敷居をまたぐ、というのがありますね。
実はこれは”サビーニの女たちの強奪”での行いに由来してます。
強奪とは穏やかでないですが、当時のローマの状況を見ると、然もありなん。
ロムルス、レムス兄弟に率いられた3千人の荒くれたラテン人が、無人のローマの地に住み着いたばかりでした。
紀元前8世紀の話で、「食い詰め集団」が誰も見向きもしなかった土地に根をおろした頃です。
当然、部族に居られなくなったり追い出された様な連中ですから、皆独身、男しか居ない集落ですね。
町の政治体制も定まった後は、パートナー探しにのりだします。
(意外にも、王制でありながら元老院と市民集会の三本立ての直接民主制で、現代の三権分立にも繋がっています。)
血気盛んな若者集団は近隣のサビーニ族を祭りに招待します。
当時のラテン人達は祭りの期間中は戦いを行わないという掟がありました。
祭りもたけなわ、サビーニ達が油断しきっている時にロムルスの号令一下、若い女性達に襲いかかり連れ去ってしまいます。
サビーニ達は老人子供を守るために、集落に戻るだけでした。
サビーニは娘達の返還をあくまで要求。
ロムルスは、娘達はローマで妻になる。
当然、サビーニによる戦線布告。
計4回戦いがおこなわれ、ローマ優勢のままサビーニが滅んでしまうかも、という状況で、突如拐われていた女達が間に入り双方に「戦いはやめてくれ」と懇願。
掠奪されたとは言え、彼女達は妻としての待遇を与えられ優しく扱われていたので、共に暮らすうちに愛情が芽生えたのでしょう。
この思わぬ仲裁役に双方の王も和平を結ぶのが得策、として終結します。
ロムルスの和平案は、お互いの勢力圏や権益は示さず「一緒にローマで暮らさないか」というものでした。
勿論、権利に差別の無い同じ市民として。
建国時のひ弱さをカバーする目的だったのでしょうが、それが伝統になり、気づけば地中海世界の覇者となりました。
敗者さえも同化させる、が自然に行える文明はこの後、城壁を作らず街道を張り巡らせることで800年間活き続ける事が出来ました。
普段、さり気なく行なっている事も掘り下げてみると面白い事実にたどり着きますね。
“ぼーっといきてんじゃねえ”と怒られない様に気をつけたいです。