2016.10.06 カルパッチョの起源
スポーツの楽しさをお伝えするATHLEADブログ。
こんにちは、シェフの阿川です。
シェフと言いながら、これまで料理について何ひとつ語っていなかったので、今回は食について(笑)
先日、ヴェネチアルネサンスの絵画展を観にいった時にふと思い出したのですが、料理名のカルパッチョは元々ルネサンス期の画家の名前でした。
料理としてのカルパッチョはヴェネチアのハリーズバーと言う、ヘミングウェイも愛したお店で最初に出されました。
時は1950年の事、当時のバーの常連客であったアマーリア・ナーニ・モチェニーゴ伯爵夫人が病を患い、医者から加熱処理した肉は食べないように、と言われていました。(???)
夫人はバーの店主のジュゼッペに相談しました。
で、ジュゼッペが作って出した料理が、生のフィレ肉の薄切りに、アイオリソース(伊版マヨネーズ)にレモンを効かせたもの!
レモンの酸味とアイオリソースのバランスが絶妙で夫人は大変喜んだそうです。
その時、ルネサンス期のヴェネチア派であったヴィットーレ・カルパッチョの絵画展が開かれていて、光輝くような赤色がその料理そっくりだと評判になり、そのまま「カルパッチョ」と名付けられました。
そう、料理のカルパッチョの始まりは魚ではなく牛肉でした。
当時のヴェネチアでは生で牛肉を食べる習慣がなかったですが、非常に独創的な料理であったので大評判になり、一躍人気メニューになりました。
しかし、食事療法で生の牛肉?
そう思ったのはぼくだけではないでしょう。
イタリアの牛肉は日本のものと違い、成牛になる前に食用にするのが一般的なために、日本のそれよりはるかに低脂肪で低カロリーなのです。
赤身で最高級の牛ロースをスライサーで薄切りにして提供するのがハリーズバーのカルパッチョです。
ハリーズバーと言えば、カクテルのベリーニも生み出した事でも知られています。
これまた、ルネサンス期のヴェネチア派初期の画家、ジョバンニ・ベリーニの回顧展の絵に使われていた淡い色調に触発されて、店主ジュゼッペが考案しました。
桃のピューレに、発泡ワインのスプマンテで割った飲み物です。
これも、一躍有名になりカルパッチョと同じ様に広まりました(こちらの方が先に考案されています。)
さて、そのカルパッチョは鮮やかな赤色ということで、鮪も使われるようになりました。
気づけば、その土地それぞれの特産のものが使われるようになり、生魚が主流になりました。
食に美からインスピレーションを受けるあたりイタリアだなぁと思いました。
色彩感覚も含めて、綺麗なものからも料理に繋げていけたらとモチベーション上がりました(笑)
今日も食とスポーツを楽しもう!